文:尾形聡子
[photo by Dave Parker]
犬の保護施設であるシェルターは、一般の家庭と比べてどうしても犬にとってストレスのかかる環境になりがちです。とはいえ、シェルターによっても環境は異なりますし、一般の家庭であっても同様です。もし、怒号の絶えないような家庭で暮らす犬であれば、犬だけでなくその場にいる誰にとっても大いなるストレスを感じる場となっているはずです。犬はそんな飼い主のストレスを感じ、さらにストレスを募らせているかもしれません。
このように、程度の問題はどこにでもついて回るものではありますが、通常、シェルターでの生活を余儀なくされる犬たちにはそれぞれの背景があり、そこで生活をせざるを得ない理由があります。そのような犬たちの福祉を少しでも改善するための手がかりを探るべく、これまでにさまざまな研究が行われてきています。
たとえばそのひとつが、「ストレスから解放されるひと時に~シェルター犬の「週末のお泊り」」で紹介した研究です。人と交流する時間が短かったり、限られた刺激しか受けられない環境で暮らす犬たちにとって、週末に一般家庭で過ごすことがストレスの低下につながる可能性があることが示されています。
ストレスはコルチゾール濃度にあらわれる
通常、個体のストレス状態を測るためには