文と写真:藤田りか子
スウェーデンは本当にドッグスポーツオタクな国だと思う。ノーズワークがアメリカで人気になるやいなや、さっそくルールを輸入してクラブを作り2017年にはケネルクラブ公認のドッグスポーツに仕立て上げた。そしてその人気はあっという間に大ブレーク。探知犬ごっこを通して多くの人が嗅覚スポーツの楽しさを覚えることとなった。今や競技会はスウェーデンのどこかで毎週末行われている。コロナ以前では年間300以上もの競技会が開催されていた。
だがスウェーデンのドッグスポーツファンはこれだけでは飽き足らなかった。なんとノーズワークに続く次なる新しい嗅覚探知スポーツを生み出そうとしているのだ。その名も「セントディテクション(Scent Detection)」。スウェーデン語では「Specialsök」という。現在ルール作成が進行中!ノーズワークと同様に特定のにおいを探すスポーツには変わりないのだが、探すまでに犬がどうするべきか、というところにも審査が入るのが大きな違い。もはや「探知犬ごっこ」ではなく、実際の探知犬作業に基づいた作業形態を求めているのだ。
ノーズワークはどんな犬でもどんな飼い主でもできるというのがウリのスポーツであったが、セントディテクションはその一段階上を目指している。ハンドラーの器量のみならず犬の素質も問われる。本物志向のドッグスポーツファン向けだ。少々敷居が高いので人気がないのではと思うだろう。ところがどっこい、ノーズワークファンはもとよりこれまでオビディエンスやワーキング系の訓練競技会で競ってきた競技会マニアからの注目も集まっている。
すでに多くの試行的競技会があちこちで開催されており、ルールの詳細を練るための実験が重ねられている。プロジェクトの音頭をとっているのは、スウェーデンケネルクラブの傘下団体であるワーキングドッグクラブ。来年2022年にはオフィシャルルールが決定する予定だ。オビディエンス、アジリティやドッグダンスと同様にケネルクラブから血統書に記載されるチャンピオンタイトルが授与されることも検討されている。