文:藤田りか子
[Photo by Frank Shepherd]
知人であるS君が、本格的にドッグスポーツをやりたいとフィールド系のラブラドール・レトリーバーを飼うことになった。ブリーダーのところに子犬を見に行ったS君は
「一番、明るくて活発な子がいい!」
と7匹の子犬達の中からあるメスを選んだ。S君はその子犬を譲りうけ、ドゥーラと名づけた。
「僕はドゥーラとこれからいろんなドッグスポーツ、ガンドッグはもちろん、アジリティやカニクロス(=犬といっしょに走るスポーツ)などにチャレンジします!」
ドゥーラが1歳になったとき、S君は初めて我々ガンドッグ仲間で行っているトレーニングに参加することになった。犬をツケの状態にして皆で横一列になって歩くウォークドアップというエクササイズを行なった。
が、ドゥーラは気持ちがはやりハンドラーのうんと前にでてしまいがちだった。S君はこれまでにツケの練習はしてきたようなのだが、苦戦がうかがえた。パッシブ・トレーニング(ステディネス)の進み具合もかんばしくなさそうだ。他の犬がダミーを回収していると興奮し、ハンドラーの横でじっと待つことができなかった。S君はこう言った。
「ドゥーラはハイ・ドライブな犬なんですよ」
フィールド系ラブラドールの全てがオンとオフのスイッチを自動的に持っているわけではない。ドゥーラのようなフィールド系ラブラドールも結構いるのだ。そしてその飼い主達はたいてい
「この子、猟欲が高いんです」
「うちの犬はハイ・ドライブですから」
などと自分の犬を説明し、だから本当はいい作業犬なんだよ、と暗にほのめかす。
「《ハイ・ドライブ》(High Drive)な犬」という表現は、