ラッコが水しぶきを上げて湖の岩場を駆け抜ければ、アシカも負けじとついて行く!外に出すとアシカはついて行く犬、ラッコはひたすらついて来られる犬。
アシカとラッコの遊び方は、屋内と屋外では異なる。屋内では双方とも取っ組み合いに終始するのだが、屋外では、走り回る。とは言っても、走るラッコにアシカがつきまとう、という感じだ。ラッコの視野に実はアシカはほとんど入っていない。彼はひたすら自分の思うままに走り回る。
ラッコが水場に行く。するとアシカも行く。ラッコが泳げばその後ろを泳ぐ。岩場を渡れば、アシカもついて渡る。その様子はいかにもリーダーに続け!と言わんばかり、アシカの健気な様子は動物としての逞しさも感じさせる。
さて、なぜラッコとアシカは屋内同様に外でも取っ組み合いをして遊ばないのだろうか?それは、ラッコに原因がありそうだ。彼にとって、アシカと遊ぶよりも、外の世界の方がもっと楽しいことに溢れているからだ。森にある様々なにおいや飛んでる鳥をめがけて走る方がよほどエキサイティングだ。ついて行くアシカからすると「ラッコ兄さん、なんて面白いことをたくさん知っているんだろう!」。年上について行けば、何か楽しいことが起こるに違いない、この行動は幼い犬の本能でもあるのだろう。こうして大人犬から様々なことを学んでいく。
私も泳ぐ!とアシカ。ラッコのやることなすこと、ひたすら真似をする、というかついて行く。
一時、
「犬はリーダーについて行く、だから飼い主をリーダーと見なしていれば、やはりついて行く。リードで引っ張られるのは犬が飼い主をリーダーと見なしていない証拠」
という説に溢れていた。こんな2頭の様子を見れば、まんざら信じられなくもない迷信だ。結局オオカミの群れや野犬の群れも、経験のある年上について行くケースがほとんどなのだ。ヴィズラという鳥猟犬の群れを調べた研究でも、散歩の時にイニシアチブを取って先導したのは一番年上のメスと報告している。のみならず、このメス犬は群れの中でも何かにつけて優先権(食べ物を先に食べられる)を持っていた。
大事なのはついて行く犬の動機である。リーダーに強制をされたから従った、というわけではない。アシカとラッコの行動を見ての通り、アシカの行動はあくまでも自主的だ。楽しいからついて行く。ワクワクするからついて行く。自分に利益がありそうだからついて行く。そしてたんに一緒にいるのが楽しいからついて行く。
犬の世界の主従関係に注目するよりも、従う犬の動機を考えながら、人と犬との関係も探っていきたいものである。
【参考サイト】