言葉のキューvsハンドシグナル、犬はどちらを重視する?

文:尾形聡子

[photo by Chris Phutully]

みなさんは普段どのようにして愛犬とコミュニケーションをとっていますか。言葉?ジェスチャー?その両方?もちろん犬は名前や短いコマンドなどを理解し覚えることはできますが、とにかくボディランゲージを読むことにとても長けている生き物です。そして先日、まさにそれを裏付けるような研究結果がイタリアのナポリ大学の研究者らにより『Animal Cognition』に発表されました。

研究者らは、水難救助犬としての資格を取得している犬25頭(ゴールデン・レトリーバー10頭、ラブラドール・レトリーバー15頭、オス12頭、メス13頭)とその飼い主を対象に実験を行いました。

「スワレ」「フセ」「マテ」「オイデ」の4つの基本動作に対する言葉のキューとハンドシグナルの両方を同様に理解している犬が、どちらをより選択する傾向にあるのか調べるために、①言葉のキューだけを使う、②ハンドシグナルだけを使う、③言葉とハンドシグナルの示すものが違うものを同時に使う(たとえば言葉では「オイデ」と言い、ハンドシグナルでは「マテ」を指示するなど)、の3つのテストを行いました。

その結果、①言葉のキューでは合計で18回のミス(正解率82%)が見られ、中でも多かったのが「フセ」だったそうです。一方②のハンドシグナルでは、1頭の犬が「フセ」をミスした以外すべての犬は正しい動作を行いました。言葉とハンドシグナルの両方を使ってトレーニングを行ってきた犬たちでしたが、言葉よりもハンドシグナルにより正確に反応していたことが示されました。

そして、③の言葉のキューとハンドシグナルとの組み合わせを違うものにしたテストでは、全体の70%で言葉よりもハンドシグナルに従う結果となったそうです。また、最もミスが多かったのが、言葉で「オイデ」と言い、ハンドシグナルで「マテ」をした場合で、56%の犬が言葉に従って動いたそうです。前述した結果と相反するのは、この場合犬はより飼い主の近くにいることを望んだためではないかとしています。

さらに③のテストには性差が見られました。オスが言葉とハンドシグナルの両方に等しく反応する傾向にある一方で、メスはハンドシグナルに対して選択する傾向が強くみられたそうです。

人はもっぱら言葉でコミュニケーションをとる生き物のため、意識せずとも言葉を発する癖がついているものです。ですのでなおさらに、犬のボディランゲージ理解に私たちが対応していけるよう、日ごろから体や手の動きを意識して使うことが大切と思います。そうすることで、これまでとは違う形で愛犬と意思疎通がはかれるようになるのではないでしょうか。

(本記事はdog actuallyにて2016年7月21日に初出したものを一部修正して公開しています)

【参考サイト】
The Science Dog