野菜と犬

文と写真:アルシャー京子

ブロッコリーは野菜の中でも多くのミネラルやビタミン類を含み、また大根は消化酵素を多く含むことから体に良い食材と言うことで知られている。それだけに「ヒトに良いもの、犬に良くないもの」でブロッコリーと大根がNGであるということへ疑問をもたれた方は多いと思う。

野菜に含まれる栄養素あるいは消化酵素を期待して犬に与える人は多いが、加熱するとカリウムやカロチン以外のビタミン・ミネラル類はその大部分が失われ、消化酵素も機能を失ってしまう。

ということはこれら野菜の恩恵を受けようと思うとなるべく加熱しないことが条件となってくる。

しかし生で与えるとなると、それはそれで次の問題が生じるのである。

芥子や大根おろしの辛味成分であるアリルイソチオシアネートという物質が胃腸粘膜を刺激するのだ。この物質は大根やブロッコリー、キャベツなどのアブラナ科の野菜に多く含まれ、がん予防に良いといわれている一方、熱を加えると(他のビタミンなどと同様に)失われてゆく性質を持っている。

大根や芥子すら食べなれている人間とは違い、犬はこれらのものを生で口にしてこなかったことから残念ながら刺激物質に対してあまり耐性がない。

あっちを立てればこっちが立たずである。

大根をすりおろすと作られるアリルイソチオシアネート。特に若い大根や根の先の方に多く含まれ、とても辛い。それが好きなヒトは多いが、犬ではそうはいかない。

では犬がこれらを絶対に口にしてはいけないかと言うと、そうでもない。

障害といってもせいぜい軟便から下痢・嘔吐程度であるから、ネギ類ほど厳しく禁じることはなく、障害が出ない程度ならもちろんこれらの野菜をメニューに加えてかまわない。

ただ「よい」という評判だけが一人歩きしてしまうと、いざ障害が出たときに飼い主に心当たりがなく、困ってしまうのだ。

だからまずは食材の性質を知ってゆこう。

では障害の出ない程度に野菜をうまく利用したい場合、どのくらいが適量か?こればかりは犬種の育ってきた環境や個体差などにより異なるので、愛犬の体に無理のない「程度」の量を自分で見極めたい。

これまで与えていた量でくさいおならもなく、かっちりとしたウンチが出るならOK。緩みがちなら思い切って野菜の量を減らしてみるべき。

けっこういける個体がいる一方で、ほんの少量の生ブロッコリーで便が緩む個体もいる。それが加熱されたものであっても量が過ぎれば消化不良を起こし腸内にガスをためることにもなる。犬はバラエティーに富んだ動物だから、個体差も大きい。

幸いにしてこれらの野菜は消化器系に影響することから、飼い主が愛犬のウンチと体調を見て判断するのが一番良いと私は思う。

(本記事はdog actuallyにて2008年9月23日に初出したものをそのまま公開しています)

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