ドッグフードを読む (4)

文と写真:アルシャー京子

ペットフード協議会の会員・非会員に関わらず、原料の質についてはすべてメーカーの言い分を信じるしかないのがドッグフード派の辛い現状。と不安を思い切り煽り、2009年6月より新しく「愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称『ペットフード安全法』)」 が施行されることになり、これまで無法地帯だったペットフードにようやく法の規制が施行されたのだった!というのが前回までのお話。

とりあえずの法規制内容とは「すべての商品に

フードの名称

賞味期限

事業者名と所在地

原産国

すべての原料名

の記載を求める」といった一般的な項目に加え、農薬やカビ毒、重金属、有害微生物そして使用に注意が必要な添加物の残留値や使用上限を設けるといった、極めて基本的なものである。

これまでこのような法律がなかったのが不思議なくらい...と皮肉る私は歪んだ性格の持ち主かもしれない。それでも「これが施行されて10年近く経つが、本当に消費者の不安は解消されたのだろうか?」という懸念はまだ拭い去れないのだ。

特に農薬やカビ毒、メラミンなどの有害物質の残留値・使用上限については限りなく「ゼロ」に近くなければ、せっかく法ができても意味はない。

この法の内容くらいでは納得行かない私は、本当はもっと有効な基準が適応されればいいなと思っている。というわけで、上記の当たり前の項目に加え要求したい事項について、私なりの「こんなドッグフードを望む!」を挙げてみた。

Moki Guarding Her Food

[Photo from Brian Ford

ドッグフードの成分分析調査の記載

ドッグフード選びで原料以外に基準になるのが成分分析表。ドッグフードの中身がどのようなものであるか大まかに示したものであり、犬の食餌を栄養学的に見る場合、なくてはならないものである。

これまでのペットフード協議会での取り決めでは表示がされていたのに、法の規制ではまだそれが義務付けとされないことに少々疑問を感じる。フードの安全性と犬の栄養安全面は別物だとでもいうのか?私にとってはどちらも健康に関わる大事な項目なのだが。

[image from 環境省自然環境局]
ペットフードの表示基準。成分分析表の詳細が記されていないことに注目。

ただ、これは決してお安いものではない。それだけにすべての成分を分析表示することは弱小メーカーには難しいかもしれない。でもどんなにいい素材を使っているフードといっても犬の主食となるものだから、せめて最低限でも以下のことを表示して欲しい。

カロリー

タンパク質

脂質

繊維質

カルシウム

リン

ナトリウム

ビタミンA

水分

分析を行った研究所がどこであるか、明記されているならなおgood。

既存のフードで特に良質の赤身肉のみを原料に用いているものでは、なぜかビタミンAの供給源が不明な場合が多い。レバーを原料に用いていないならば人参や別の添加物で補う必要があるので、パッケージの表示が不十分で分からない点は直接メーカーや販売代理店に問い合わせてみるといいだろう。

食品に適用されている有機JASマーク。このマークがない農産物等に「有機」、「オーガニック」などの名称や紛らわしい表示をすることは法律で禁止されているが、これまで規制のなかったドッグフードでは「オーガニック」の名称は多く乱用されていた。

「有機JAS規格」の適用を望む

食品分野においては、原料の安全性保証の一環として平成18年に国内農産物に対し「有機農産物の日本農林規格」(通称:有機JAS規格)というものが農林水産省から告示されたのと同時に、法律によっても有機農業は推奨されることになり、消費者にとってひとつ安心要因が出来た。

[image from 農林水産省]

現在この「有機JAS規格」が食品以外で適用されているのは畜産(最終的には食品となる動物)の飼料のみ。これをペットフードにも適用してもらいたいと私は強く要求したいのだ。現時点では製品としてドッグフード丸ごとは認定されず、せいぜい有機JAS認定された原材料を使用していることを表示できるに留まっている。それでも有機JAS認定された原材料とはつまり有機食品レベルのものを使用しているということになるから安心の足しにはなる。

有機JAS認定により作られた農作物が、現在どの程度ドッグフードへ応用されているかは不明だが、食品の例にならってドッグフードのパッケージにも「有機JASマーク」が入れられるようになるといいなと思う。輸入フードなら各国の基準に沿ったオーガニック認証がついている場合があり、日本も相互認証できるくらいの基準を持っているのだから、早くその適用範囲をドッグフードにまで広げてもらいたいものだ。

そうすればドッグフードは少なくともすべての原料に食品レベルのものが使用されるということになるから、残る問題は食品のレベルアップに心血注げばいいだけのこととなる。

これでようやく安心感が湧いてくるのは、けっして私だけではないはず。

(本記事はdog actuallyにて2008年11月21日に初出したものを一部修正して公開しています)

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