愛犬がペロペロ舐めてくれる、私のこと好きだから?

文:藤田りか子

[Photo by Tal Atlas]

アシカというメス犬を迎えたのはオス犬ばかりと何年も暮らした後だ。オス犬とはやっぱり違うと思った気づきの1つが、やたらと人の顔を「ベロベロ舐める」という行為。人によってはこれを良しとしたり禁止としたり。なにが正しいとか間違いというのはない。自分で「ルール」を決めればいいだけだと思うのだけど…。

私の知人のフラットコーテッド・レトリーバーは(たしかメスだった)、それはそれは人を舐めるのが大好きで、飼い主もその行動を愛おしいと思う一方で、あまりのしつこさに辟易していた。しかし、彼女は上手にその行動を利用した。オビディエンスのトレーニングをしている人で、上手に脚足行進をしたりきちんと物品を手渡ししてくれたりした際に、そのご褒美として顔を舐めるのを許可した。

「普段は舐めたらいい顔をしないお母さんなのに、この時ばかりはたくさん舐めさせてくれるしおまけにうれしがってもくれる!」

と犬は大喜び。これがそのフラット・コーテッドレトリーバーにはこの上もなく良いご褒美となったそうだ。

オス犬でもペロペロと人を舐める個体もいるが、特にメス犬に多いのは、おそらく子犬を舐める、という母性の部分からも派生している行為だからだろう。子犬がお腹からでてきたとたん、息ができるよう母犬は狂ったように新生児を舐め回すものだ。と考えると「舐める」とは子孫生存にとってもすごく大事な機能ということになる。

さて、実用のなさそうなところでも犬は人をペロペロと舐めたがるわけだが、それはなぜ?についていくつか解釈例を示そう。

食べたいよう

「おかあちゃーん!」ホワイト・スイス・シェパードのパピーと母犬 [Photo by Jan Truter]

舐めるのは母犬の行動と述べたものの、子犬にとっても大事な行動だ。母犬から食べ物をもらう時、子犬は母犬の口の周りを舐める。その行動は胃の食べ物を吐く、という行動を誘発する。オオカミの母犬が狩猟から巣に戻り、子犬に口を舐められ胃から半分消化された肉を吐き戻すシーンを動物番組でみたことがある人もいるはずだ。というわけで、口まわりをペロペロ舐めるのは「何かちょうだいよう!」という欲求の行動でもあるのだ。

相手をなだめる

アシカがベッドで寝ているときに、ちょっかいをだし覆いかぶさったりすると、彼女はすかさず頭をあげ、私の顔をペロペロと舐める。覆いかぶさられることに少々居心地の悪さを覚えているのだろう。「私、母ちゃんにそうやられるとしんどいけど、いい子にしているわよ、だから優しく接してね」というシグナルを出しているようにも見える。前述したように舐めるというのは子犬の動作でもある。子犬のように振る舞い、自分はか弱いものであることをアピールして相手をなだめるという感情が含まれているのだろう。

味見をして調査する

ぺろりと舌を出しているのは、緊張感の表れ?それともグアナコのことを知ろうとして舐めているのか。[Photo by Gerald Davison]

犬は嗅覚だけではなく、舐めることでも情報を収集する。おそらく、口の中に入れてヤコブソン器官(犬の口蓋と鼻腔の間にある器官)でにおいの分析を行っているのかもしれない。災害救助犬がエアセント(空中のにおい)をとるためにときおり舌をぺろりとだすことがある。口蓋に臭気をいれて情報をあつめようとしているのだ。初めてあった犬に手を差し出すと、ペロペロ舐めてくれたという経験を持つ人もいるのでは。おそらく犬は「この人は一体誰なの?」と情報収集を行っているのだろう。同時にその人の感情状態をチェックしているのは、犬ならありうること。彼らは人からでているストレスホルモンをかぎ取る能力も持っているのだから。

犬は人の感情を嗅ぎとり、その感情に影響されている
文:尾形聡子 たとえ表情や所作にあらわさずとも辛く悲しい気持ちでいるときに、愛犬が自分の気分を察知していると感じたことはありませんか…【続きを読む】

かまってちょうだい〜

我が家の犬は退屈すると、私のそばによってきて口のまわりをペロペロと舐めることがある。この行為をすると、たとえテレビをみて夢中になっていても絶対にアテンションをもらえる、というのを学習しているのかもしれない。が、もう一歩つっこんだ解釈も必要だ。

オオカミが狩に出る時など、キーキー奇妙な声をだしながら群れメンバーが一斉に互いをペロペロと舐め合う。「よし、みんなで行こうよ!」という合図でもあり、そうやって群れの連帯感をも盛り上げているのだろう。ここから考えられるのは、愛犬が顔をやたらとベロベロと舐めているのは「甘え」の表現ではなく、「わたし、退屈しているの。一緒に外に出ようよ!」という「催促」と理解するのが正しいかもしれない。

こんにちは!

[Photo by Shiba Inu Hawaii]

舐めることが相手をなだめるシグナルと述べたが、その意味をさらに延長させて、挨拶行為として解釈することもできる。アシカはラッコが外から帰ってくるとすかさず彼の顔をペロペロ舐める。もちろん私の顔も。

……………

「舐める」という行動を犬が起こす時、その心の中に湧き上がっている感情は以上述べたような解釈の入り混じりではないかとも思う。ここでは特に説明しなかったけれど、友情とか親しみという気持ちももちろん含まれているはずだ。みなさんも愛犬を観察してどのような感情状態にあるのか、これらを参考に自分のセオリーを立ててみよう!

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