夫婦喧嘩はラブラドールですら食わぬ

文と写真:藤田りか子

カッレとの口論は今やクライマックスだ。と、それまで足元にいたラブラドール・レトリーバーのアシカがいないことに気がついた。そしてふと後ろを振り向くと…。少し離れたところに彼女はすわっていた。それもとても心配そうな面持ちでこちらをみている。耳は思いっきり後ろに寝かされていた。アシカのことが不憫に思えた。口論を中止した。そう「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」というが、それなら「食い意地が張っているラブラドールですら食わぬ」。犬にも理解しがたい状況である。

アシカはそれでも目の届く範囲にいようとするものの、先代のカーリーコーテッド・レトリーバーのトドなど、派手に口論をやると、玄関のドアを自分で開けて飛び出していったものだ。人が苛立っているのを犬は確実に読み取る。特に家庭内の喧嘩を嫌がるのは群動物ならではの心理だ。いつ自分たちにとばっちりが及ぶかわかったもんじゃない。だから、喧嘩の末私がオイオイと泣いたとしても、決して犬たちは「ママ、どうしたの」なんて涙をぺろりと舐めに側にやって来ることなんかない。以前も辛いことがあって愛犬の側で号泣したが、その時も慰めてくれるどころか、「わ、怖い」と言わんばかりベッドからさっと降りて、自分の寝床に戻られてしまった。ただしこんな愛犬経験を持つのは私だけ(とほほ)?

犬は人の落ち込んだ気持ちに対する癒しの効果がある、というのは最近学説的によく聞くことでもある。が、自分の犬のリアクションを見るにつけて、そこまで美談にしてもいいのだろうか、

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