長くても、短くてもいけない犬の爪

文と写真:アルシャー京子

犬をトリミングに出すとかならずといっていいほどセットで付いてくる「爪切り」。もしくは健康診断のときの「ついで」で獣医に任せる飼い主もいる。うちの犬の場合、洗い・爪切りは私の仕事である。

犬にとっての爪は(誰もが知っていると思うが)スパイクの役目を果たす。肉球を地面につけ、蹴り出して前に進むとき爪ががっちりと地面をとらえることで力が無駄なく使われるのだ。

テクテク歩きの時にはそんな風には見えないが、全速力で走り抜けて行った犬の足跡を見れば一目瞭然、肉球よりも深く地面に食い込んでいる爪の跡がみられる。

犬の爪はヒトの爪よりも伸びる速度は遅い。また普段充分な運動をしている犬や硬い地面の上を歩いている犬ならば自然と地面に擦れて削られてゆく。だから爪切りを必要とする場面というのは落葉の積み重なった山の地面や砂地、雪の上など、往々にして柔らかい地面を走っている犬あるいは運動量の足りない犬という事になる。

それでも毎月ほどもいちいち切らなくていいのが犬の爪。地面に触れる爪は前肢・後肢で異なってくるうえ、後肢の爪はほとんど切らなくても良いくらい常に短いのが普通だ。もしも健康な犬で毎回切らなければいけないほど後肢の爪が長いならば、

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