文:尾形聡子
[photo from Adobe Stock]
一般的に、成人は1日に3回食事をとりますが、このところプチ断食や半日断食などと呼ばれるような、食事を摂取する日や時間を制限するたぐいの断食が健康やアンチエイジング、ダイエットに効果があるという理由で世界的に流行しています。それと並行し、本当に断食などで医学的な効果を得られるのかについての研究が数多く行われています。たとえば以下の記事はそのような研究の一例を紹介したものです。
https://president.jp/articles/-/49802?page=1
ところで実験動物において、カロリー制限をすると寿命が延びることは昔から知られています。そして近年では、給餌の時間制限をした齧歯類の寿命が伸びた、認知機能の維持に効果があった、代謝の改善を示したという報告がでています。しかし、実験動物におけるこれらの効果が、カロリー摂取量の減少のためなのか食事回数の減少のためなのか、それともその両方によるものなのかはわかっていません。
では犬ではどうでしょう?
環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」によれば、健康な成犬には1日2回の食餌を与えることが推奨されています。その理由として、
「与える回数が1日1回だけの場合は、 慌てて飲み込んでのどに詰まらせたり、 肥満になりやすいともいわれる」
と書かれています。またそこには、
「子犬の場合は、1回に食べられる量が少ないため、 4回程度に分けて与えましょう」
とも記載されていますが、子犬のみならず、老犬や消化器系の病気の犬などは1日複数回に分けて食事を摂取する必要がある場合もあります。ですが、多くの成犬は1日2回のご飯が与えられているのが一般的でしょう。これは世界的に見ても推奨されている成犬の食餌回数でもあります。
先に述べた実験動物における給餌コントロールによる健康へのいい影響を考えると、犬においても給餌方法によって健康やアンチエイジングにプラスに働く可能性があります。そこで、アメリカのワシントン大学やアリゾナ大学などによる研究チームは、人と同じ環境で暮らす犬の食餌の回数が健康状態や認知機能とに関連があるかどうかについて、「Dog Aging Project」のデータを横断的に使用し、解析を行いました。