文:尾形聡子
[photo by Susan Roberts]
犬をはじめとするペットとの暮らしが私たちの心身にいい影響をもたらすといわれるようになって久しく、それを後押しするような疫学的な研究がたくさん出てきています。たとえば一般的に大人は、犬を飼えば散歩に出かけるようになる、つまり、これまでよりも運動する機会が増えると考えられ、そこから身体的健康が促進されます。そして、外に出かける機会が増えることで得られる地域との交流が増える可能性が高いというようなメリットが示唆されています。
そのような影響は子どもにも及び、犬と暮らす子どもは飼っていない子どもと比べると身体活動時間が多いという報告はもとより、子どもの社会性や感情面の発育にもいい影響があるとする研究も出ています。犬との暮らしは、子どもが責任を学んだり、自我や自立の感覚の発達を促したり、無条件の愛や忠誠を感じたりする可能性を高めることが科学的に示されるようになってきました。ただし、このような研究の多くは小学生以上の子どもを対象としたもので、小学生になる前の子どもにも同様のメリットがあるかどうかはあまりよくわかっていないのが現状です。