文:尾形聡子
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飼い犬の不妊化手術をすることがこれほどまでに「習慣」となってきたのはいったいいつ頃からでしょうか。実際に保護される犬が減っているのかどうかは別問題として、不妊化手術は個体数の管理をする上で有効であることは事実です。手術する理由にはそれ以外にも、特定の病気の発症率を下げたり、性ホルモンに由来すると考えられている攻撃性を高めない、あるいは低下させたりしたい、というのもあります。
しかしそれを行う時期によっては犬にとっても人にとっても「あだ」となりかねないことを示す研究結果も出ています。簡単に説明すれば、早すぎる時期の手術はむしろ人から望まれない犬の行動を出やすくさせてしまう可能性もあるのです。
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たとえばこれまでに行われているオス犬の去勢と攻撃性に関する数々の研究をみても結果はまちまちで、手術が攻撃性の低下につながるというはっきりとした因果関係は示されていません。
また、特定の病気の発症と不妊化手術との関係については「するかしないか、するならいつか?不妊化手術と病気の関係」にて最近の研究を紹介していますが、いずれの研究においても手術することが健康面全般において大きくプラスに働いているとは言い切れない結果がでています。
つまり現時点では、不妊化手術をするかどうかは、もしするならば時期も含めプラス面・マイナス面の両方を比較し、慎重に検討されるべき事項であるという認識が飼い主として重要となってくるのではないか、といえます。そして多くの人は獣医師やドッグトレーナー、場合によっては動物行動療法士などの専門家の意見も参考にしているはずです。
これらの点に着目しオランダのワーヘニンゲン大学の研究者らは、攻撃性という観点からオス犬の飼い主にターゲットを絞り、飼い主がどのような理由により去勢をしようと考えたのか、そこに行動面の問題があるのか、どの専門家からアドバイスを受けたのか、手術による攻撃性の変化などについてアンケート調査を行い、