文:尾形聡子
[photo by Cordelia Naumann]
一生麻酔をかけずに済むならば。しかし、飼い主の意に反して多くの犬は生涯一度は全身麻酔をかけて何らかの処置をすることがあると思います。体力のない子犬や老犬、もともと呼吸や心臓に疾患を抱えている場合など考慮すべき点はいくつかありますが、一部のグレーハウンドやサイトハウンド犬種ではいくつかの麻酔薬の分解がうまくできず、なかなか麻酔から覚めないことが知られていました。
かつて、サイトハウンド犬種が麻酔薬の代謝不良をみせるのは、サイトハウンドの特徴でもあるスリムで脂肪が少ない筋肉質な体のためと考えられていました。親油性の麻酔薬からの意識の正常な回復にはある程度の脂肪が必要とされるからです。しかしその後の研究により、