文:北條美紀
Randolph Caldecott collection page 0105
「咬む犬」をつくってしまう人は、犬の様子を一生懸命に見ていつつも、「こんなことをしたら気分を害するかしら?」と接し方が不安で控えめ。少しでも犬の様子に不安感や嫌悪感が見えようものならすぐに引いてしまう。だから、接し方や態度に一貫性がなくなる。このような特徴が見受けられるという。
私たちは、他者の気持ちを察するように社会から求められる。空気を読むというのもその一つだ。そして、察することのできない人、空気の読めない人は、コミュニケーションスキルが足りない、鈍感だと不名誉なレッテルを貼られてしまう。だから私たちは、多かれ少なかれ人の気持ちを察する努力をする。ただ、察することに過敏になるあまり、そのことだけに集中する人がいる。そしてそれは、往々にして失敗する。なぜなら、他者に意識が向きすぎ、自分の感覚や欲求が置き去りにされてしまうからだ。
冒頭の、咬む犬をつくってしまう人たちの特徴は、傍若無人な子どもの対処に困り果てている母親の