致死性の遺伝病、神経セロイドリポフスチン症の日本のチワワにおける現状

文:尾形聡子


[Image by a-mblomma from Pixabay]

長年にわたり日本で人気犬種のチワワ。JKCの登録頭数を見ると、ここ数年の登録頭数の多さはプードルに次いで2番目、毎年5万頭ほどのチワワが登録されています。そんなチワワに発症することがわかっている遺伝病のひとつが「神経セロイドリポフスチン症(NCL)」。ひと昔前にボーダー・コリーでの発症が広まったことがある病気なので、この病名を見聞きしたことのある方も多いのではないかと思います。NCLは人にも発症する進行性の重度の遺伝病で、難病指定されているライソゾーム病に含まれています。

神経セロイドリポフスチン症(NCL)とは

細胞の中には、ライソゾーム(リソソーム)と呼ばれる細胞小器官が存在しています。ライソゾームではいくつもの分解酵素が働いて、日々排出される不要なもの(老廃物)の処理が行われているのですが、処理するための酵素に異常が起き、分解処理がうまくいかなくなるために発症する病気を総じてライソゾーム病と呼んでいます。ライソゾーム病の発症原因はさまざまで、その中のひとつが神経セロイド・リポフスチン症(NCL)になります。そのほかムコ多糖症や柴での発症がよく知られているGM1ガングリオシドーシスなどもライソゾーム病にあたります。

NCLはリポフスチンという物質が代謝されずに蓄積してしまうことで起きる神経変性疾患です。原因となる遺伝子変異によって発症年齢が異なり、数ヶ月齢の子犬期に発症するものから5~6歳の成犬期に発症するものもあり、症状の進行も犬種や個体によって異なります。ですが、いずれの場合も老廃物の蓄積により中枢神経が侵されていくことで、運動障害、視覚障害、知的障害、行動異常、性格の変貌など多様な症状が見られるようになり、やがて死に至ります。

現在、犬のNCLにおいては9つの原因遺伝子が同定されており、ボーダー・コリーやチワワのほかにも、ダックスフンド、

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